東京都 留学支援「東京グローバル・パスポート」創設 所得制限なし

東京都は、都内在住の大学生等を対象とした新たな海外留学支援制度「東京グローバル・パスポート」の創設を発表した。グローバル人材の育成に向け、経済的な理由によらず意欲ある学生が海外留学の第一歩を踏み出せるよう、所得制限を設けずに手厚い支援を行うのが特徴だ。2026年夏からの留学希望者を対象に、2025年12月頃から募集開始の予定。

この制度は、東京と日本の未来を創造する人材育成を目指す「2050東京戦略」の一環として位置づけられている。近年の留学費用の高騰を踏まえ、学生の自己負担を大幅に軽減することを目指しており、特に留学経験のない学生でも挑戦しやすいよう、短期留学の支援枠を年間500名と手厚く設定した。

支援は「短期コース」と「中長期コース」の2本立てで、2026年夏留学では短期コース250名、中長期コース100名を募集する。留学期間が28日以上4か月未満の短期コースでは、アメリカ留学の場合で最大90万円が支援される。また、4か月以上1年以内の留学を対象とする中長期コースでは、同じくアメリカへ12か月留学する場合、最大315万円が支援される。なお、短期コースは別途募集する春留学と合わせて年間で合計500名の支援を予定している。

東京都の公式ホームページより

本制度の大きな特徴として、応募者の意欲や主体性を重視する選考方針が挙げられる。応募には、単なる語学学習に留まらない、自身の目的・目標に沿った探求活動を含む「留学計画書」の提出が求められる。この計画書の内容と充実度が審査の重要なポイントとなり、在籍大学の指導教員や担当部署と相談の上で作成する必要がある。

主な応募要件として、応募者は日本国籍を有し、国内の大学等に在籍している必要がある。また、生計維持者が引き続き1年以上都内に住所を有していること、2026年4月1日時点で30歳以下であること、そして一定の成績と語学力を有することも求められる。重要な点として、語学学習のみを目的とする留学は支援の対象外となり、他の海外留学支援制度との併給は認められない。

今後のスケジュールとして、応募は大学等を通じて行い、2025年12月頃に受付を開始、2026年2月27日(金曜日)17時00分に締め切られる予定だ。中長期コースは4月下旬に書面審査結果が通知され、5月中旬の都が指定する1日に面接審査が実施される。採用決定は短期コースが2026年6月上旬、中長期コースが同6月下旬を予定しており、7月頃に東京で壮行会が実施され、事前研修は7月18日(土曜日)、8月1日(土曜日)のいずれかへの参加が必須となる。短期コースの支援対象となる留学開始日は2026年7月20日(月曜日・祝日)から2026年12月31日(木曜日)まで、中長期コースは2026年7月20日(月曜日・祝日)から2027年3月31日(水曜日)までとなっている。大学の事務担当者向けには、制度の目的や事務手続きに関するオンライン説明会が2025年9月19日(金曜日)に開催される。

東京都の公式ホームページより

本制度は、学生のグローバルな視野を育むだけでなく、各大学における国際交流プログラムの推進や、学生への新たなキャリアパスの提示にも繋がるものとして、教育関係者からの期待が寄せられている。