阿部俊子文科相 30~40代女性の体力低下懸念

本文 定例記者会見で、阿部俊子文部科学大臣は2025年10月14日、最新の「令和6年度体力・運動能力調査」の結果や、福岡県で発覚した補助教員による教員免許状の偽造事件など、教育・社会を取り巻く複数の課題について見解を述べた。

子育て世代の体力低下、スポーツしやすい環境整備へ

令和6年度「体力・運動能力調査」及び1998年度以降の推移分析の結果、30代半ばから40代の女性において体力低下の傾向が見られ、スポーツの実施率も低いことが明らかになった。阿部文科相は、その理由として「家事が忙しい」「面倒くさい」といった回答が男性より高いことを挙げ、「こうしたことも体力低下の一因」との認識を示した。 対策として、文部科学省は職場や地域など身近な場所でスポーツに親しめる環境整備を進めるとともに、今回の調査で学生時代の運動経験が成人後の体力・スポーツ習慣に強く影響することが明らかになったとして、学校段階での環境整備にもしっかり取り組んでいく考えを表明した。

35~39歳女子の女子運動能力総合調査の分析図。総合評価C以上の割合が60%後半から50%前半へ低下している。Bの割合が低下し、Dの割合が向上している(スポーツ庁の公式ホームページより)

免許偽造事件に「誠に遺憾」、日本版DBSの適用も検討

福岡県で、2005年に児童買春で懲戒免職となり免許を失効した補助教員が免許状を偽造して採用されていた事件について、阿部文科相は「教育の質を全国的に担保していくという免許制度の趣旨に鑑みまして誠に遺憾」と述べ、採用時の確認体制の重要性を強調した。 文部科学省としては、これまでも採用時に免許状の「原本確認」を徹底するよう求めてきたとし、必要に応じて都道府県教育委員会と連携の上、教員免許管理システムに記載された情報を活用するよう、引き続き各採用権者に対して周知徹底を図る方針を示した。また、今回の事件で問題となった補助教員のようなスタッフについても、現在制度設計が進む「日本版DBS」の対象とし、性犯罪歴の確認を行う方向でこども家庭庁と連携していくことを明らかにした。なお、教員による性暴力防止法に基づくデータベースの活用についても言及があった。

高校無償化協議、連立解消の影響は限定的か

公明党の連立政権離脱が、今年2月に合意された自民・公明・維新の3党で進められてきた高校無償化の協議に与える影響について問われた場面では、阿部文科相は「連立を離脱されたことによって協議が進まなくなるという話では必ずしもないのではないか」との認識を示した。文部科学省としては、受験生や高校生が不利益を被ることがなく安心して進路選択できるよう、状況を踏まえながら準備を進めていくとしている。 このほか、閉幕した大阪・関西万博については、「命輝く未来社会のデザイン」というテーマのもと、科学技術分野の先端技術や成果、我が国の文化芸術の魅力などを発信し、「未来への道筋を示す素晴らしい機会になった」と総括した。