学びを保障するための遠隔教育の推進に向けた意見を公表 経済同友会

経済同友会は6月17日、教育改革委員会より、「小・中学校の子供の学びを止めないために~遠隔教育の推進に向けた意見~」(委員長:峰岸真澄リクルートホールディングス取締役社長 兼 CEO)を発表した。

経済同友会は、コロナ禍での学校休業による子どもの学習格差が広がりつつあることを受け、各地の教育委員会や学校にヒアリング調査を行ったところ、小・中学校の現場では試行錯誤しながらICTを活用した遠隔教育での学びを積み上げていたことが明らかとなった。そこで、今後、新型コロナウイルス感染症の第二波や第三波が到来することを想定すると、対面での学校教育に、ICT を活用した学習を組み合わせた形を「教育のニュー・ノーマル」とすることが求められている現状を受け、再び「子供の学びを止めない」ために、遠隔教育を推進する際のボトルネックを把握し、具体的な処方箋を本意見書にとりまとめた。 

意見書のポイントは下記のとおり。経済同友会では、今後さらに各方面の意見を集め、提案の確実な実現を目指して発信・行動していく、としている。詳細は下記リンクから。

https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2020/200617a.html

【意見のポイント】

・小中学校の教員が配信し、児童や生徒が家庭で受ける遠隔教育(注)は、正規の授業として認められていない。「同時双方向」が必須条件とされている遠隔教育の要件を緩和し、対面授業と同等の効果を有する場合には、正規の授業として認めるべき。

(注)スタジオ型の遠隔教育と呼ばれている。

・一人一台端末の予算措置は済んだが、新型コロナの第二波、第三波や冬季の再流行を想定し、秋頃までに一人一台端末の環境整備にメドを付けるべき。また、家庭への持ち帰りを容易にするためには、通信環境の確保(モバイルルーターの貸与と通信費支援等)とセキュリティソフトの導入が不可欠で、国と自治体は十分に支援を。

・新型コロナ対応で、改正著作権法の施行が早まり、インターネットでの教材等配信について、教員の作成する教材は著作権者の許諾が原則不要になったが、対象外である、①スタジオ型およびオンデマンド型(注)の遠隔教育の教材や、②教育委員会が作成する動画・コンテンツについても、著作権者の許諾を原則不要に。

(注)児童や生徒が自分の都合の良い時にアクセスし、(教員の授業等の)映像や音声を再生して受講する方式の遠隔教育。

20.06.18news1