生成AIによる「卒アル悪用」に警鐘 卒業アルバム制作会社が学校向け注意喚起資料を無償提供
卒業アルバム制作を手がける株式会社夢ふぉと(累計100万冊以上の実績)は9月10日、生成AIの普及に伴う卒業アルバム写真の不正利用リスクに対応するため、全国の学校が保護者や生徒に配布できる注意喚起用の公式資料を無償で提供開始したと発表した。
近年、SNSや生成AIの急速な普及により、卒業アルバムの写真が面白半分の加工や、時には性的嫌がらせ目的で編集され、拡散されるといった事例が問題となっている。これらの行為は、名誉毀損(刑法230条)やリベンジポルノ防止法、著作権法、個人情報保護法などに抵触し、法的な責任を問われる可能性もある深刻な問題だ。
株式会社夢ふぉとのプレスリリースより
この新たなリスクに対し、夢ふぉとは3つの取り組みを進めている。第一に、今回発表された「保護者向け配布資料」の無償提供。学校現場がこの問題について家庭と共通認識を持ち、生徒への指導をしやすくすることを目的としている。第二に、個人情報保護に配慮した新しいアルバムレイアウト(集合写真中心の構成、写真と名簿の分離)の導入。第三に、不正な複製を防ぐためのスキャン防止仕様やコピーガード機能といった技術的な防御策の実装だ。
同社は、「私たちが伝えたいのは『罰則の怖さ』ではなく、相手の気持ちを思いやり、写真を大切に扱う心です」と強調する。この問題は、単なる技術的な対策だけでは解決できず、情報モラルやネット上で他者を尊重し責任ある行動をとることの大切さを教えるといった教育的なアプローチが不可欠だ。今回の夢ふぉとの取り組みは、学校がこれらの新しい課題について指導する際の、具体的な教材やきっかけを提供するものと言える。
同社は「技術 × デザイン × 運用」で、技術だけでは解決できない部分を教育や体制整備で補い、安心して思い出を残せる社会を目指すとしている。「心の宝物」であるはずの卒業アルバムが、生徒を傷つける道具になってしまわないよう、学校と家庭、そして関連企業が連携し、技術と教育の両輪で対策を進める必要性が高まっている。
注意喚起資料は、同社ウェブサイトから無償でダウンロード可能で、各学校の状況に合わせて編集して活用できる。