地域を舞台にしたゲームを開発 デジタル活用で地域活性化を目指す

社会構想大学院大学「地域プロジェクトマネージャー養成課程」の第9期修了生・樋口浩路氏はゲーム開発の経験を活かして新潟県三条市を舞台にしたゲームを開発、地域活性化に貢献。今後も地域活性化に取組みたいと話す樋口氏に、本課程で得た学びや今後について話を聞いた。

長年のゲーム開発の経験から
生まれた地域活性化への想い

樋口 浩路

樋口 浩路

有限会社パパイヤ電池開発 代表取締役
TVゲーム・アプリゲーム開発者。新潟県十日町市出身。長崎大学工学部構造学科卒業後、TVゲーム・アプリゲームの開発に長年携わる。2004年に有限会社パパイヤ電池開発を設立、代表取締役。2024年1月から25年12月まで新潟県三条市の地域おこし協力隊に参画。過去に関わった主なゲーム作品は『シムシティ』『いただきストリート2』『ダービースタリオン』など。社会構想大学院大学「地域プロジェクトマネージャー養成課程」 第9期修了生。

社会構想大学院大学の「地域プロジェクトマネージャー養成課程」(以下「本課程」)では、地活性へ向けた産官学連携プロジェクトを計画・運営する際に、様々な利害関係者の「架け橋」となり、プロジェクト全体をマネジメントする「ブリッジ人材」を育成する。本課程は、多様な専門家が、行政視点」を多く取り入れながら、地方自治体の考え方、地域活性化や産官学連携の手法・事例などについて、リアルかつ現在進行形の知識・スキルを提供。また、地方自治体に政策提言を行う機会も設けている。

第9期修了生の樋口浩路氏は新潟県十日町市の出身。30年以上に渡ってTV ゲーム・アプリゲームの開発を手掛けてきた。地域を舞台にしたゲーム開発に携わった経験もあり、「地域をゲームで活性化したい」という想いがあった。そうした折、新潟県三条市の小学生を対象にしたプログラミング教育に関わったことを契機に、運営に携わる地域おこし協力隊との縁が生まれ、自身も地域おこし協力隊に参画した。

「地域とより密接にプロジェクトを起こしていくにはどうしたらいいかと考えていた時に本課程を知りました。総務省の地域プロジェクトマネージャー制度も知らなかったので調べていく内に興味をもったので応募をしました」

関係人口の創出に向けて
「動画制作スタジオ」の設立を提言

本課程の学びについて樋口氏は「地域でプロジェクトを起こすには、課題発見から解決策の立案、地域住民への説得、協力者の確保まで段階的・論理的に進めることが重要です。例えば、予算は最初からある程度決まっているため、その枠内で実現可能なことを模索しながら現実的に取り組む。そういった一連の流れを軸に各事例を学べたことが非常に参考になりました」と振り返る。

また、本課程のゲスト講師として修了生が登壇した際、失敗事例を中心とした内容が強く印象に残ったと樋口氏。それを縁にその修了生との交流も続いている。

「同期では旅行代理店勤務ならではの観光目線を持ち、バランス感覚にも優れた方に刺激を受けました。大げさな提案をせず、地域の規模に合った課題を的確に捉えて自身の提案にする姿勢は尊敬でき、交流が続いています」

政策提言は茨城県筑西市を選択。「動画スタジオ」としての公共施設の利活用、駅周辺での地元農産物のマルシェ開催、地域活性化に活かすDAO(分散型自律組織)など、関係人口の創出を狙った政策を提案した。

「この市であれば集客はデジタルの方が効果的と考え、コンテンツ発信に着目しました。若者は発信力があるため、市がスタジオを用意して筑西市を紹介するコンテンツを発信してもらえれば、よい循環が生まれると考えたのです」

本課程修了後も樋口氏自身がPR動画を制作し、自治体に見てもらうといった活動を継続しているという。

地域を舞台にしたゲーム開発で
子どもたちの好きを言語化する

樋口氏は三条市の地域おこし協力隊で活動していた際、三条市を舞台にしたRPG『三条上々!!! 山と川と鋼と八人の米神』(以下『三条上々!!!』)を開発し2025年7月にリリースした。金属加工技術の集積地で知られる三条地域。ゲームには三条市長はじめ、世界的な作業工具ブランドの企業、日本初の『大漢和辞典』を編纂した「諸橋轍次記念館」、縄文時代の遺跡、町の魅力的な食べ物など、地域の多様な施設・食・風景などが登場する。遊びながら地域を学べるゲームで、140体のモンスターを小学生に描いてもらった。

『三条上々!!!』は町を再現したマップを冒険。三条市長も登場し、冒険のヒントを提示してくれる。

「キャリア教育などを通じて子どもたちと関わる中、子どもたちが町を好きでいながら、その理由を言語化できないことに気づきました。その『好き』を持ち続けてほしいし、『こんな魅力があるんだよ』と外から来た大人として伝えたかった。好きな理由が明確なら地元を離れても将来戻ってくる理由になればと思ったのです。また、観光のきっかけにもなればと考え開発しました」

ゲームを知る地域の人からは「登場させてくれてありがとう」な ど好意的な反応があったという。

「地域活性化を町全体の課題と捉える方が多く、新しい取り組みへの寛容さもあり、温かく受け入れられています」

今後は政策提言で提案したDAOにも強い関心があると樋口氏。現在、地域でのDAOを推進する民間企業 との交流を通じてDAOに関心ある自治体で地域おこし協力隊として参画する予定だ。

「赴任先では地域と一緒にプロジェクトを進める経験を積みながら、三条市とも連携していきたいです。『三条上々!!!』のように、地域の活性化に活かせるゲームも開発できればと思っています」

※『三条上々!!!』は下記URLからプレイできる。
https://freegame-mugen.jp/roleplaying/game_13750.html