AI活用に関する「マネジメントシステム規格」制定  組織の責任と役割を明確化

一般財団法人日本規格協会は9月10日、人工知能(AI)のマネジメントシステムに関する日本産業規格(JIS)「JIS Q 42001:2025(情報技術-人工知能-マネジメントシステム)」を8月20日に発行したと発表した。これは、AIを開発・提供・利用するすべての組織に対し、その責任や役割、リスク管理の枠組みを定めた規格となる。

この規格は、急速なAI技術の発展と、それに伴うガイドラインや法規制の乱立を背景に制定された。EUのレポートによるとAI関連のガイドラインや法令は600を超えており、様々なガイドライン等が乱立していることから、標準的な組織のマネジメントシステムを規定した規格の作成が喫緊の課題となっていた。今回制定されたJISは、国際規格(ISO/IEC 42001:2023)と整合したものであり、AIシステムの信頼性、透明性、説明責任が要求される可能性を考慮し、AIの活用に伴うリスクを回避するための要件を定め、AIの公平性や個人のプライバシーへの配慮などについて要求している。

同協会によると、この規格は組織の規模や業種に関わらず、AIを活用する製品やサービス(AIシステム)を開発、提供または利用する全ての組織が、責任を持ってAIシステムを構築・運用するための要求事項を規定している。

一般財団法人日本規格協会の公式プレスリリースより


この規格の制定により、組織はAI技術に関する信頼性の高いマネジメントシステムを構築でき、適切なリスクマネジメントを行いながら、AI技術を利用して品質の改善、生産性の向上等に貢献することが期待される。また、責任をもってAIシステムに取り組んでいることを組織外に示すことで、組織としての信頼性や競争力の向上にも繋がるとしている。

規格書は税込9,240円(A4判、60頁)で、日本規格協会から購入可能。