文科省、「研究論文に着目した日英独の大学ベンチマーキング2023」発表
文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は6月28日、「研究論文に着目した日英独の大学ベンチマーキング2023」を発表した。わが国の大学の特徴を、自然科学系論文の産出数が同程度であるイギリスとドイツとの比較を通じ、明らかにしている。
NISTEPは、わが国の研究力向上のためには、論文産出の主要な場である大学について、その動向を把握するとともに、他国と比べた特徴を明らかにする必要があるとの考えから、2020年に「研究論文に着目した日英独の大学ベンチマーキング2019」を発表。今回、これを最新のデータにもとづき更新するとともに、さらなる分析を行った。
3か国の大学を論文数シェア別に分類したところ、英独ではもっとも規模の大きい第1グループに次ぐ第2グループに属する大学が多く、論文も、そのような大学によるものが大半を占めていた。特にドイツでは、第2グループの大学で約7割の論文が産出されていた。
一方、日本では第1グループから第4グループまで、論文数規模は同程度であった。個々の大学の論文数規模は小さいが大学数が多いことから、第4グループも他のグループと同様の規模を示していた。
さらに、3か国の大学について論文数の分布を調べたところ、少数の論文数規模の大きい大学と、多数の論文数規模の小さい大学が存在することが日本の特徴として浮かび上がった。英独よりも多様な規模の大学が研究活動に参画しているとも言えるが、上位に続く大学の層が薄いとも言える。
日本の大学の研究力を強化するためには、この規模面での多様性を踏まえ、施策を講じる必要があるとしている。
詳細は以下から見ることができる。
https://nistep.repo.nii.ac.jp/records/2000110
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