日本人学生の海外留学はコロナ禍前の半数程度 日本学生支援機構
学生支援事業を総合的に実施する文部科学省所管の独立行政法人 日本学生支援機構では、毎年、外国人留学生の在籍状況や日本人学生の海外留学状況等の調査を行っており、5月24日に最新の調査結果を取りまとめた。また、文部科学省においてOECD等による統計をもとに、日本人の海外留学者数を集計して、最新の状況を取りまとめた。
日本学生支援機構が実施している「外国人留学生在籍状況調査」によると、2023(令和5)年5月1日現在の外国人留学生数は279,274人(対前年度比48,128人(20.8%)増)。留学生数の多い国・地域は、中国115,493人(対前年度比11.2%増)、ネパール37,878人(対前年度比56.2%増)、ベトナム36,339人(対前年比2.8%減)となった。
2022年に入り、3月以降の水際対策の段階的緩和及び10月からの入国者数の上限撤廃により留学生の新規入国が進み、留学生総数はコロナ禍以降初めて増加した。在学段階別に見ると、高等教育機関については、国内からの進学者の割合が高い大学学部等(正規生)及び専修学校(専門課程)は、過年度の新型コロナウイルス感染症の影響が残り、前年に続き減少したものの、それ以外の学種では増加に転じた。また、日本語教育機関については、日本語教育機関を対象とした調査を開始した2011年度以降過去最多となった。
出身地域別に見ると、概ね全ての地域で大幅な増加。主な出身国のうち、ネパール、ミャンマー、バングラデシュ、アメリカ合衆国からの留学生については、コロナ禍前(2019年)を上回る在籍者数が計上された。
また、日本学生支援機構が実施している「日本人学生留学状況調査」によると、大学等が把握している日本人学生の海外留学状況は、2022(令和4)年度で58,162人(対前年度比47,163人(428.8%)増)。引き続き増加(回復)しているものの、コロナ禍前の半数程度にとどまった。その中で、留学期間が3か月以上の中長期の留学者数については、コロナ禍前(2019年度)の数字の約90%となっている。
留学生数の多い国・地域は、アメリカ合衆国11,880人(対前年度比229.7%増)、カナダ6,735人(対前年度比466.4%増)、オーストラリア6,187人(対前年度比1839.5%増)。比較的早期に入国制限の緩和に動いた欧米諸国への留学が2021年度夏以降回復に向かったが、2022年度はアジア諸国についても入国制限が緩和され、留学生数の増加につながったと考えられる。
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