電子国家エストニアから学ぶ 持続可能に値するICT活用

電子国家として知られるエストニア。長く公教育は電子化され、PISA では OECD 1位となった。存続のために電子化した同国の教育背景を検証する。

ICT 立国エストニア

丸山 英樹(まるやま・ひでき)

丸山 英樹(まるやま・ひでき)

博士(教育学)。上智大学総合グローバル学部教授。専門は比較国際教育学。現在、日本比較教育学会事務局長、国立教育政策研究所フェロー等をつとめる。編著に Cross Bordering Dynamics in Education and Lifelong Learning,(2020). Routledge,『教育学年報11号:教育研究の新章』(2019)世織書房等。

エストニア共和国第2の都市タルトゥ市中心部に立地する同国の教育研究省には、全館でプリンターが1台しか設置されていない。驚いて伺うと、「あなたのように、紙を必要とする人のため」と理由が返ってきた。省内では印刷は禁止されており、電子署名を含めて書類はすべて電子ネットワーク経由で業務が進む。日本ではハンコの廃止や学校現場への ICT 機材導入が目的になりがちだが、エストニアの社会や学校では目的を達成するための手段として ICT が活用されている。エストニアから日本が学ぶべきことは目的と手段を違えない点にある。

エストニアは、フィンランドからバルト海を挟んで…

(※全文:2249文字 画像:あり)

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