EUの脱炭素人材育成政策 「欧州グリーンディール」の背景にある戦略

「欧州グリーンディール」で世界の脱炭素を牽引するEU。1960〜70年代に日本やアジアの後塵を拝しつつも、研究開発に投資を続け、人材を育成してきた。EUの政策に学べる点は多い。

栗田 路子

栗田 路子

在ベルギー ジャーナリスト
EU(欧州連合)諸機関が集まるベルギー・ブリュッセルをベースに活動。上智大学卒業。米国およびベルギーの経営大学院にてMBA取得。メディア・コーディネートや通訳と同時に、執筆を通して、EUおよびベルギーの政治・社会事情(教育、環境、福祉など)を発信中。環境ビジネス、ハフィントンポスト、共同通信 News47、EU Mag(駐日EU代表部公式webmagazine)、SpeakUp Oversea’sなどに執筆。

日本でも俄かにSDGsが叫ばれ、「脱炭素」などの語彙が聞こえるようになった。筆者が欧州に移り住んだ約30年前、EUの政策立案者やロビイストらの間では、すでに「サステナブル」「ライフサイクルアセスメント」といった言葉が飛び交っていた。

今日のEUでは、エネルギーや環境では当然だが、経済・産業、財務、外交など全ての政策分野で循環経済やカーボンニュートラルといった方向性が横串となって貫かれている。こうした社会を生み、牽引する人材はどうしたら育てられるのだろうか。「技術革新」だけでは危機にある今の地球社会を救えず、社会科学系の智の役割は計り知れない。だが、本稿では、主に自然科学系の脱炭素人材育成についてEUの取り組みを概観しよう。

(※全文:4025文字 画像:あり)

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