高専×ベンチャーの挑戦!次世代エネルギーの社会実装に向けた研究開発

脱炭素時代のエネルギー源として注目される水素だが、燃料電池などへの利用には高い純度が求められ、精製コストが課題となっている。大分高専では、安価かつ効率的に高純度の水素を精製する技術を開発。産学官協働の体制で社会実装を進める。

高純度の水素を安価に
金属膜を使った水素精製技術

松本 佳久

松本 佳久

大分工業高等専門学校 機械工学科 教授 兼 副校長/博士(工学)
1989年豊橋技術科学大学大学院 工学研究科 修士課程 生産システム工学専攻 修了。1999年名古屋大学大学院 工学研究科 博士(工学)。大分工業高等専門学校 機械工学科 助手、同 制御情報工学科 助手・講師・助教授等を経て、2005年にノースウェスタン大学 客員研究員、産業技術総合研究所 客員研究員。2007年に大分工業高等専門学校 機械工学科 准教授、翌年より同 教授。2016年に校長補佐、地域共創テクノセンター長を兼任した後、2020年からは物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点 表界面物理計測グループ 客員研究者も務める。2021年より現職。

2015年のパリ協定をきっかけに脱炭素が世界的潮流となるなか、次世代のクリーンエネルギーとして水素が注目を浴びている。

水素を燃料電池などに供給して利用する場合、電池の耐久性や発電能力を維持するために高い純度が求められる。例えばトヨタの水素自動車、新型『ミライ』では、純度99.97%という非常に高い規格が設定されている。

高純度の水素を精製するには、CO2などの不純物を取り除く必要があるが、従来の技術ではおのおのの不純物に対応した吸着物質が必要で、コストと手間がかかり装置も巨大化するほか、精製の過程のロスが大きく水素の回収率も低下することがネックとなっている。

(※全文:3257文字 画像:あり)

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