再生可能熱エネルギーの地域活用に向け、急務となる実務家の育成

カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーへのシフトが進みつつあるが、それを担う実務家やプロデューサーは不足している。再エネを利用する社会システムの形成には人材育成が不可欠であり、教育が果たすべき役割は大きい。

再生可能エネルギーに対する
教育の貢献

秋澤 淳

秋澤 淳

東京農工大学 教授
専門はエネルギーシステム工学。排熱や太陽熱を有効利用して省エネルギーを図る技術・システムに関心をもつ。熱駆動ヒートポンプサイクル、太陽集光・集熱、コージェネレーション等の分散型エネルギーシステムの解析などの研究に従事。

日本でも2050年までにカーボンニュートラルな社会を目指すことが明確化され、再生可能エネルギーを取り入れることが喫緊の課題となっている。そのためには財政、技術開発、ビジネス、制度など多面的な取組みが求められる。教育も、もちろんその一つとして役割を持つ。学校教育の中では環境や社会の面、あるいは理科の面から教育プログラムに取り入れられ、基本的な認識や理解を促すことにつながっていると思われる。

大学教育では、エネルギーを冠した専攻はあるが、既存の学問体系の枠組みの中で取り扱われている。再生可能エネルギーを基盤とする21世紀のエネルギーシステムを構築するには、これまでの延長線上では不十分であることが危惧される。新しいエネルギー需給の体系を理解し、それを駆動する人材の育成が必須である。再生可能エネルギーの利用は単に技術的な問題ではなく、本質的に多面的であり、運用する側に総合力が不可欠と考えられる

(※全文:1896文字 画像:あり)

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