イノベーターの放牧地・慶應鶴岡 脱・優等生主義でベンチャー創出

2001年の開設以来、多くのベンチャー企業を輩出してきた慶應義塾大学の先端生命科学研究所。企業人等の派遣も受け入れながら、旧来型の優等生とは一線を画す人材を育成している。ゼロベースでイノベーターを育てる“鶴岡モデル”の理念と構想とは。

失敗しても拍手喝采
鶴岡に脱優等生の集積地

冨田 勝

冨田 勝

慶應義塾大学先端生命科学研究所 所長
1957年東京生まれ。慶應義塾大学工学部卒業後、米カーネギーメロン大学に留学し、コンピュータ科学部で修士課程と博士課程修了。その後、カーネギーメロン大学助手、助教授、准教授、同大学自動翻訳研究所副所長歴任。1990年より慶應義塾大学環境情報学部助教授、教授、学部長(2005年~2007年)歴任。International Society of Metabolomics Lifetime Honorary Fellow(終身名誉フェロー)(2017)、山形県特別功労賞(2017)、第68回河北文化賞(2019)、第5回バイオインダストリー大賞(2021)などを受賞。

2017年6月にForbes Japan誌の「日本を面白くするイノベーティブシティ・ランキング」で全国第3位となった山形県鶴岡市。20年前は田んぼだらけだった場所が、いまや日本屈指のサイエンスパークへとなった契機は、2001年に慶應義塾大学が先端生命科学研究所(Institute for Advanced Biosciences、以下IAB)を開設したことだった。湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)の立ち上げにも携わり、同研究所で所長を務める冨田勝氏は、首都圏から遠く離れた山形にキャンパスがある意義について、こう説明する。

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