脱炭素と電力安定供給板挟み 電力供給安定化に課題 経産省の小委員会で議論

経済産業省が開催した総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 制度検討作業部会(第107回)の議事要旨が2025年9月3日に公開された。この会合では、容量市場について議論が行われた。

供給力不足エリアの拡大が顕在化

議論の中で、容量市場の約定結果が全国では目標調達量を確保している一方で、エリア別では中部エリアで初めて供給力が不足したことが報告された。東京管内では恒常的な不足が続いており、深刻度が増しているとの指摘があった。供給力不足の背景として、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が不確実であることや、将来的な脱炭素化を目的とした工事等を含む休止が原因で応札できなかった電源があることが挙げられた。

価格高騰と「GX-ETSコスト」の課題

容量市場の価格高騰について、物価上昇の影響や各回のオークションで電源種構成が違う点等が要因の一つとして指摘された。最終的に需要家負担増加につながるため、詳細な要因分析が必要との意見が出された。GX-ETS(排出量取引制度)コストについては、現在制度設計中であり、現段階で合理的にコストを考慮することは困難として、2025年度の入札価格に織り込まない方針には異論がないとの見解が示された。一方で、温暖化政策は価格にしっかり転嫁できるようにすべきとの意見や、遡及的な措置も含めて検討すべきとの要望も出された。

経済産業省公式ホームページより

監視と対策の継続

売り惜しみの監視結果については「問題ないところかと思う」という見解が示された一方、特定エリアにコジェネなどの補助金を集中的に導入する提案や、再生可能エネルギーとコジェネを組み合わせてデータセンターの電力を賄うことをサポートする案も提示された。

5つのエリアで供給信頼度が不足している点について、直ちに供給力が不足することではないが、確率論的に供給力不足となる可能性が高いことが指摘された。これに対し、容量市場で確保した電源をより信頼度を高めるための対応を広域機関等と連携して検討することが求められた。

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