雇用・人材育成や教育システムに関する「未来人材ビジョン」公表 経産省

経済産業省の未来人材会議は5月31日、雇用・人材育成や教育システムに関する「未来人材ビジョン」を公表した。

同ビジョンは、①問題意識、②労働需要の推計、③雇用・人材育成、④教育、⑤結語の5つで構成。問題意識では、デジタル技術の活用と、世界的潮流となった脱炭素、将来の不確実性を背景としたリスキル、AI・ロボットとの共生の在り方に対する関心の高まりなどに触れ、「雇用・人材育成と教育システムは、別々に議論されがちであるが、これらを一体的に議論することに意義がある」と指摘。また、「企業ができることは何か。これからの時代に必要となる具体的な能力やスキルを示し、今働いている方、これから働き手になる学生、教育機関等、多くの方々に伝えることで、それぞれが変わっていくべき方向性が明確になるのではないか」が問題意識と述べている。

雇用・人材育成では、現在の日本を取り巻く様々な課題をデータに基づき指摘した上で、「人的資本経営という変革を通じて、日本社会で働く個人の能力が十二分に発揮されるようになれば、日本社会がより一層、キャリアや人生設計の複線化が当たり前で、多様な人材がそれぞれの持ち場で活躍でき、失敗してもまたやり直せる社会へと、転換していく」と指摘した。

また、教育では、新たな未来を牽引する人材が求められるとして、ある一定の環境の中で「自ら育つ」という視点が重要と述べた。そしてデジタル時代では、教育を「①「知識」の習得 と、②「探究(”知恵”)力」の鍛錬という2つの機能に分け、レイヤー構造として捉え直すべきではないか」と指摘。①に関しては、「デジタルを基盤に、企業や大学等の教育プログラムを共通の知として整備することで、誰もが年齢や居住地を問わずにアクセスし、個別最適な学びを実現させるべきである」としている。

一方、②に関しては、「『探究力』を鍛錬するレイヤーでは、社会課題や生活課題の当事者として、課題の構造を見極めながら、自分に足りない知恵を集め、異なる他者との対話を通じて、協働的な学びが行われるべきである。その際、世の中の社会課題を機敏に感知するスタートアップの知見を教育にも取り入れる必要があるのではないか」としている。この他、博士人材の積極的な活用等を指摘している。詳しくは下記で確認できる。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/mirai_jinzai/20220531_repot.html

22.6.6news1

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