ミネルヴァ大学における汎用的能力とその形成

キャンパスをもたず世界7都市を巡り、すべての授業をフルオンラインのアクティブラーニングで行うミネルヴァ大学。だが、それと並んで大きな特徴は、汎用的能力の形成にある。在学生へのインタビューを通して見えてきたその実際を紹介する。

ミネルヴァという
グローバル環境

松下 佳代

松下 佳代

京都大学高等教育研究開発推進センター教授
専門は教育方法学・大学教育学。日本学術会議会員、大学教育学会副会長などを務める。主な著書に、『対話型論証による学びのデザイン』(勁草書房, 2021)、Deep Active Learning(Springer, 2017)など。

グローバル人材とは「世界のどこでも、だれとでも仕事ができる人」のことらしい。だとすれば、ミネルヴァ大学ほど、グローバル人材を育成するのに適した教育を行っている大学も世界にそう多くないだろう。

ミネルヴァ大学は、キャンパスをもたず、サンフランシスコ→ソウル・ハイデラバード→ベルリン・ブエノスアイレス→ロンドン・台北と、半年もしくは1年ごとに世界の7都市を移動しながら学ぶ(ただ現在は、コロナ禍の影響でこの通りにはなっていない)。それぞれの都市で寮生活をしながら、現地の企業や行政組織などとプロジェクトを行う。学生も、世界約60カ国から集まっている。

私たちのグループではこの2年近く、ミネルヴァの学生や教職員にインタビューを行ってきたが、ミネルヴァの学生たちは異口同音に、「世界のどこでも生きていける自信がついた」と言う。

(※全文:2312文字 画像:あり)

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