2023年のキーワード 教育格差 「実態把握」のために適切な学力調査を

近年、教育格差への関心が高まっているが、その根底にはどのような問題があり、またどのような取組みが求められるのか。文部科学省「全国的な学力調査に関する専門家会議」委員を務め、共著『教育格差の診断書』を刊行している福岡教育大学、川口俊明准教授に話を聞いた。

学力格差の実態を知るために、
まずは土台となるデータ整備を

川口 俊明

川口 俊明

福岡教育大学 教育学部 准教授
大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。専門は教育学・教育社会学。日本の学力格差の実態を明らかにするため、学力調査の分析や学校での参与観察調査を行う。文部科学省「全国的な学力調査に関する専門家会議」委員。著書に『全国学力テストはなぜ失敗したのか』(岩波書店)、共著に『教育格差の診断書』(岩波書店)など。

── 日本の教育格差をめぐる問題について、どのように見ていますか。

私は教育格差の中でも学力格差、つまり保護者の学歴・年収・職業、あるいは本人の性別・出身地といった社会的属性で生じる学力格差に関心を抱いてきました。私が専門とする教育社会学の分野では、古典的と言ってもいいテーマなのですが、日本で研究を深めようとして大きな壁に直面しました。それは、研究者が利用できる肝心の学力調査がほとんど無いという問題です。

(※全文:2586文字 画像:あり)

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