「GIGAスクール」の真意 端末とネットワーク活用の先へ

各学校で ICT 端末の整備が急ピッチで進められているが、GIGA スクール構想の本来の目的やビジョンを見失ってはいないだろうか。マイクロソフト社でプロダクト マーケティングに長く携わりながら、文部科学省で事業の立ち上げに関わった中川哲氏に、本構想の真意について聞いた。

プロダクトから、ソリューションの時代に

──マイクロソフトではどのような事業に関わっていたのでしょうか。

中川 哲

中川 哲

株式会社 EdLog 代表取締役社長
文部科学省 初等中等教育局 視学委員(GIGA スクール戦略担当)
国内 IT ソフトハウスを経て、1997年にマイクロソフト株式会社(現 日本マイクロソフト株式会社)へ入社。業務執行役員として Windows 等の主力製品の出荷を担当し、2011年より教育機関担当の業務執行役員 本部長等を務める。2017年に日本マイクロソフト株式会社を退社。株式会社 EdLog を設立するとともに、文部科学省へ入省し、初等中等教育局 プログラミング教育戦略マネージャーとして活動し、2020年12月より初等中等教育局 視学委員として、GIGA スクール構想をはじめとする教育の情報化を担当。

私は、日本のソフト開発会社から1997年にマイクロソフトへ転職し、主に Windows などのプロダクト マーケティングを担当していました。当時は Windows や Office という「製品」が非常に注目を浴びていて、それらの製品を説明することが、そのままお客様の価値につながるという考え方でした。

しかし2000年代中盤にコンピュータが普及して、インターネットに接続されるようになると、一般の方にも多くの情報が手に入るようになりました。従来は人が知らない情報を知っているだけで価値があったところから、既知の情報をどのように自分たちの生活やビジネスに活かすかという、「ソリューション」が重要になってきました。当時のマイクロソフトも「プロダクト」から「ソリューション」に重点を移すようになりました。今、教育の世界も「なにを知っているか」だけではなく…

(※全文:2226文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。