植物葉で電位を測定できる極薄電極を開発 早稲田高大連携の研究成果

早稲田大学は6月5日、シート型電極の開発を行っている研究チームが、植物葉で電位を測定できる極薄な導電性ナノシート電極を開発し、導電性高分子を用いた植物生体電位のライブモニタリングに世界で初めて成功したと発表した。

今回開発されたのは、植物葉で電位を測定できる極薄電極(ナノシート電極、厚さ約300ナノメートル)。特徴的な物理接着性と柔軟性から、接着剤などを使用せずに葉面への貼付が可能で、微細な凹凸に密着できる。比較対照のゲル電極では貼付して14日程度で葉面に変色がみられたのに対し、ナノシート電極は変色せず、侵襲度の低さを顕著に示した。

このナノシート電極は直接果実等の可食部へ貼付が可能で、生体電位測定の幅を大きく広げることができる。同技術は無人栽培や植物工場での人工栽培など、農業をはじめとする一次産業での応用が可能で、これらはSDGsにおける貧困・気候変動・飢餓などの項目の解決に貢献することが期待される。また、簡易的な電位測定システムとして中高生向けに生体電位や測定システムの学習をサポートするキットへの応用も期待できるという。

同研究の研究チームは、東京工業大学生命理工学院の藤枝俊宣講師(兼 早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構・研究院客員准教授)、早稲田大学高等学院の谷口広晃氏(現 早稲田大学先進理工学部生命医科学科2年)、秋山和広教諭で構成。第一著者の谷口氏は研究開始当時早稲田大学高等学院に在籍する高校生であり、大学進学後も研究を続け、今回の論文作成へ至った。同研究は高大連携を活かした好例であり、今後の教育活動のモデルとしても参考になるとしている。

2020.6.8(1)