全国保育・幼児教育施設の絵本・本環境実態を初調査

ポプラ社は東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センターと共同で、子どもを取り巻く読書環境の改善を目的としたプロジェクト「子どもと絵本・本に関する研究」に取り組んでいる。2020年2月に実施された同プロジェクトの第1回記者発表レポートが公開された。

蔵書数・予算の概算と施設による比較

蔵書数・予算の概算と施設による比較

出典:ポプラ社×東京大学Cedep 「子どもと絵本・本に関する研究」第1回目記者発表レポート

記者発表では、共同研究の3つの柱のひとつ、「調査研究」の第一弾として実施した全国の保育・幼児教育施設(認定こども園、幼稚園、認可保育所、認可外保育施設等)の絵本・本環境実態調査の結果の概要が発表された。調査結果によると、絵本・本の年間購入予算については、多くの施設が5万円未満と回答。

具体的には、年間予算が5万円未満の施設は認可保育所で60.4%、幼稚園で55.0%、認定こども園で41.1%だった。また、蔵書数は「300冊未満」と回答があったのは認可保育所では30.8%であったのに対して、幼稚園では9.8%、認定こども園では7.7%で、施設形態により差が見られた。

東京大学本郷キャンパスで行われた記者発表会場の様子

東京大学本郷キャンパスで行われた記者発表会場の様子

義務教育段階の教育施設における1校当たりの年間の図書費用は、全国平均で、小学校では平均49.8万円、中学校では58.7万円。また、蔵書数は小学校では1万335冊、中学校では1万1579冊となっている。従って、保育・幼児教育施設の蔵書数・図書予算は、小中学校と比べて非常に少ないことが判明した。