大学入学共通テスト 記述式と英語4技能の実現困難を明記

文部科学省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は7月8日、「学入試のあり方に関する検討会議 提言」を公表した。

同検討会議は、2019年11 月、12 月に発表された「大学入試英語成績提供システム」及び大学入学共通テストにおける国語・数学の記述式問題の導入見送りを受け、大学入試における英語4技能の評価や記述式問題の出題を含めた大学入試のあり方について改めて検討を行うために、同年12 月に文部科学大臣の下に設置されたもの。

同提言では、「大学入試英語成績提供システム」及び大学入学共通テストにおける記述式問題の導入見送りについて、文部科学省は、「今回の事態が受験者等に与えた影響を真摯に受け止め、提言に盛り込んだ大学入学者選抜に係る意思決定のあり方に示された諸観点については、今後、広く他の施策においても生かされることを強く求める」と記載。

記述式問題の出題のあり方に関しては、質の高い採点者確保の問題、正確な採点など採点精度の問題、採点結果と自己採点との不一致、大学への成績提供時期の遅れ、民間事業者の活用に伴う利益相反の懸念の指摘等の問題が指摘されたと整理し、大学入学共通テストでは、上記課題の克服は容易ではなく、その実現は困難であると言わざるを得ないとしている。

また、「大学入試英語成績提供システム」に関しては、地理的・経済的事情への対応が不十分であるとの指摘、障害のある受検者への配慮が不十分であるとの指摘、目的や内容の異なる試験の成績をCEFR 対照表を介して比較することに対する懸念、文部科学省の民間事業者への関与のあり方等の問題が指摘されたと整理。大学入学共通テストでは、上記問題を短期間で克服することは容易ではないと考えられ、この方式の実現は困難とし、大学入学共通テスト「英語」の試験形態は、「マーク式問題及びICプレーヤーを使用して実施する方式とし、出題内容としては『読む』、『聞く』に関する能力を中心としつつ、『話す』、『書く』を含めたコミュニケーション力を支える基盤となる知識等も評価するなど、高等学校までの教育で培った総合的な英語力を可能な限り評価する方向で不断の改善を図っていくことが望ましい」としている。

提言の詳細は下記を参照。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/103/toushin/mext_00862.html

21.7.9news1

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