文科省、「第4期に向けた指定国立大学法人構想の展開」を取りまとめ

文部科学省の審議会「国立大学法人評価委員会 指定国立大学法人部会」(部会長:相澤益男国立研究開発法人科学技術振興機構顧問)は、第4期中期目標期間に向けた指定国立大学法人構想の展開について、取りまとめを行った。

指定国立大学法人制度は、世界最高水準の卓越した教育研究活動を展開し国際的な拠点となり得る国立大学法人を指定し、特例として規制緩和等を実施しつつ、高等教育全体としての改革を牽引し、ひいては日本の成長とイノベーションの向上を目指すものだ。現在、10 法人(東北大学、筑波大学、東京大学、東京医科歯科大学、東京工業大学、一橋大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学)が指定国立大学法人として指定されている。

国立大学法人評価委員会では、第4期中期目標期間において更なる展開を目指すに当たり、概ね各大学に共通して留意すべき点として、以下のとおり意見を取りまとめた。

・構想調書に掲げた目標が具体的に目指す姿をイメージする際には、日本という枠に留まらず、世界に冠たる大学として、個々の教員や研究成果ではなく、世界にどのように自大学をアピールするかという視点を強く持つべき。

・世界のリーディング大学として、地球規模の課題を積極的に発掘し、その解決に尽力していくことが重要であり、ひいては自らのレピュテーション向上にも繋がるということを認識すべき。

・実態を伴った形での「社会との共創」の具現化が必須であり、そのためには、構成員はもとより、共創を目指す「社会」とビジョンを共有した上で、具体的な社会的課題の明確化が求められる。

・社会のあらゆる分野で重要な課題となっているダイバーシティについては、各大学とも取組は進んできているが、その成果は未だ不十分と言わざるを得ない。特に執行部の構成を抜本的に見直すことは、ガバナンスの強化に繋がるとともに、大学全体に大きな方向転換を促すことにもなる。

・研究者や大学間の国際的ネットワークをさらに強化するとともに、データベースの構築も含めて国内外の卒業生のネットワークを拡充することは、国際的なレピュテーションやプレゼンスの向上のみならず、優秀な人材や寄附金の獲得等の飛躍的な進展にも繋がる。

・今まで以上に経営という観点を強く打ち出していくとともに、世界へのプロモーションを進めていくためには、経営のプロフェッショナル人材や広報の専門家を世界的に獲得することも検討すべきである。

22.3.30news1

指定国立大学法人の1つ、東京大学の安田講堂。

Photo by Kakidai