一学期間の集中的な体験学習から 未来を探索する韓国のキャリア教育

キャリア教育の重要性が高まる中、韓国では自由学期制という体験学習やプロジェクト学習を特定の一学期間集中的に行う制度がある。本稿では、同制度の現状と課題・特長を解説する。

日本でキャリア教育の充実の必要性が唱えられて久しいが、「生きる力」の育成と関連づけられることで、その重要性はますます高まっている。隣国の韓国でも、自身のキャリア形成に対する主体性の育成は重要な課題とされている。そのための具体的な方策として2016年から全ての中学校に導入されているのが、「自由学期制」である。

全国全ての中学校に、専任教員を配置

松本 麻人

松本 麻人(まつもと・あさと)

名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。韓国の教育制度や政策全般について調査・研究しており、特に高等教育の私立セクターの歴史的形成や展開について関心がある。近年は、韓国の学校事務の業務についても研究を進めている。文部科学省外国調査係を経て、2018年から現職。

自由学期制とは、各学校の裁量で特定の一学期間(韓国の学校は二学期制)を「自由学期」と定め、職業体験を含む様々な体験学習を中心に編成されたカリキュラムを運営する制度である。教育部(日本の文科省に相当)が示すモデルケースでは、週当たり33~34時間の授業時数のうち11~13時間が体験学習の時間に充てられている。自由学期の期間中は、中間試験や期末試験といった筆記試験は行われない。

教科学習においてもプロジェクト学習が中心となり、評価では課題等の遂行過程やその達成程度などについて形成的評価が行われる。同制度が狙うのは…

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