映画鑑賞はキャリアを考える糸口 演出の力で「深い」理解を促す

今年7月発刊の『「仕事映画」に学ぶキャリアデザイン』(有斐閣)は、作品が映す仕事・雇用・経済を、学者ならではの観点から解説したユニークな書籍だ。著者である学習院大学の脇坂明教授から出版までの経緯や「仕事映画」の講義を受けた学生の反応について話を伺った。

虚構のインパクトが、現実を見る助けになる

脇坂 明

脇坂 明

学習院大学教授
経済学(博士)。京都大学大学院経済学研究科博士課程単位修得退学。岡山大学経済学部講師・助教授・教授を経て、現職。日本キャリアデザイン学会理事長(会長)。専攻は労働経済学。主な研究テーマは、雇用政策、人事管理、女性労働。主な著書に『「仕事映画」に学ぶキャリアデザイン』(有斐閣)など。

アン・ハサウェイ主演の『プラダを着た悪魔』(2006年、米国)が2020年10月に地上波で放映された。テレビ局の公式サイトによると、女性視聴者からのリクエストが最も多かったそうだ。「エリート新卒が雑誌編集部で働く話ですが、いまの日本ならブラック企業そのもので、編集長の行いはパワハラどころではありません(笑)。しかし、デフォルメされているからこそインパクトが大きく、社会人経験のない大学生にも『働く』ことを深く考えるきっかけになるのです」と語るのは、学習院大学教授の脇坂明氏だ。

今年7月、同じ労働経済学を専門とする…

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