オンライン教育全国自治体アンケート(抜粋版) 教員研修や持ち帰りに課題

先端教育機構は、GIGAスクール構想の実態調査を目的として、全国市区町村の教育委員会を対象にオンライン教育に関するアンケートを実施し、313の教育委員会から回答を得た。速報値としてアンケート調査の一部【抜粋版】を公表する。

「授業支援アプリについて」「教員研修について」等を含めた【全体版】については、月刊先端教育2021年5月号(4月1日発売)に掲載する。また当サイトでは、本誌発売に先行して購読会員限定で3月26日にオンライン記事として公開する。購読申し込みはこちら

■調査サマリー

・小中学校の1人1台端末整備は、2021年3月中に9割方完了する見込み。

・端末の持ち帰りは3分の1の自治体で前向きに検討されているが、ルール整備などが課題になっている。

・端末の利活用における課題は、教員の研修(基本的な操作法から指導力向上まで)や、トラブル時のサポート体制に関する内容がもっとも多い。

※アンケートに回答した313自治体より

■調査の概要

内容:小中学校における1人1台端末の利活用等における現状と、今後の教育活動への展望
調査対象:全国市区町村 教育委員会
回答数:313件
回答方法:Webフォーム
回答期間:2021年3月1日~3月16日
調査主体:学校法人先端教育機構

■調査の結果(抜粋版)

1)1人1台端末の整備状況

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端末整備は、2021年3月中に9割前後の公立小中学校で完了する見込み。コロナ禍で整備スケジュールが当初の予定より前倒しとなり、2021年度から「GIGAスクール元年」が幕を開けることになる。

2)端末のOS

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小学校はiOS・Chrome・Windowsがほぼ同率で割れている一方、中学校ではChromeとWindowsが2トップとなっている。中学校より小学校でiOSを導入する比率が高く、小学校では直感的に操作しやすいタブレットを好む傾向があると思われる。

3)端末の利活用範囲

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授業・学校内の活用が半数以上を占める一方で、およそ3自治体のうち1自治体が「学校外(自宅等)も含めて活用する」と回答した。「当面は授業に限定する」は8%と僅かで、端末の積極的な利活用に向けて前向きに検討されていることが伺える。

4)今後の課題

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(自由記載・無回答含む)

端末の利活用において課題と考えていることは、「教員全員がICT機器の最低限の基本操作・知識を身に着けること」や「教員のICTを活用した指導力向上」といった教員の研修や、「ICT支援員の確保」などトラブル時のサポート体制に関する内容が、最多の29.7%を占めた。次いで、端末の持ち帰り(家庭学習での利活用)と、端末の管理・更新等に関わるコストが9.6%だった。

月刊先端教育4月号では、オンライン教育に関する特集記事を掲載している。

1人1台環境の活用に必要なコト 端末の日常活用と公式ID導入を/豊福 晋平(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)

オンライン授業のノウハウを共創 ロイロノート・スクールで繋がる先生の学び/野中 健次(LoiLo)

端末は「子どものもの」の理念で 日常生活で慣れ親しむ環境整備へ/小﨑 誠二(奈良県教育委員会)

教育ICT基盤のフルクラウド化で 多様な働き方・学び方を実現/鴻巣市教育委員会

端末利活用に向け現場を支援 自治体はネットワーク環境の整備を/今井 裕一(文部科学省)

GIGAスクール元年がスタート 課題は日常化・ネットワーク・クラウド/月刊先端教育 編集部