大学の今、そして未来 元読売新聞「異見交論」記者の視点

これほどまでに大学の存在意義が問われた時代が、かつてあっただろうか。曰く「イノベーションの起爆装置」、曰く「優良企業に就職させる訓練機関」…。では、大学とはいったい何だろう。

「納得」を求めて

松本 美奈(まつもと・みな)

松本 美奈(まつもと・みな)

一般社団法人Qラボ代表理事、ジャーナリスト。1986年慶應義塾大学法学部卒、読売新聞社入社。社会部、編集委員、専門委員などを経て2019年4月から現職。上智大学特任教授、帝京大学客員教授、実践女子大学学長特別顧問。著書に『特別の教科 道徳Q&A』(共著、ミネルヴァ書房)、『異見交論 崖っぷちの大学を語る』(事業構想大学院大学出版部)など。

読売新聞の公式サイトで4年間にわたって連載し、このほど出版した「異見交論 崖っぷちの大学を語る」をめぐって、しばしば受ける質問がある。先日も経済専門紙の記者から真顔で尋ねられた。「今までで最も納得したインタビューはどれか」と。

大学を取材の主軸に据えて十数年。異見交論のインタビューでは、大学人のみならず、政治家や官僚、財界人らと対象を広げていった。聞いたその場では、高説に納得したような錯覚に陥る。けれどもしばらくすると、居心地の悪さを感じて、また次のインタビューを企てる。その繰り返しだった。

知りたい点はずっと変わらない。大学とはどんな価値を持ち…

(※全文:4404文字 画像:あり)

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