やさしい「文字」から教育が変わる 奈良県教育委員会×モリサワ[AD]

奈良県教育委員会は、読み書き障害や弱視に対応するモリサワのUDフォントを教育現場で積極的に活用している。より多くの子どもにも「読みやすい」文字によって、教育の機会均等や学びの質向上を進めることが目的だ。

情報の多くを視覚から得る私たちは、印刷物からwebやメール、携帯電話、交通標識にいたるまで、文字情報を頼りに生活をしている。しかし、その文字が読みにくかったり、文字をたどることに苦痛が伴ったりすればどうだろうか。

日本では人口の約0.7~2.2%が「ディスレクシア(発達性読み書き障害)」を抱えていると推測される(国立精神・神経医療研究センター調査)。これは知的能力の低さや勉強不足が原因ではなく、正しく読むのが極端に遅く、読み間違えるといった傾向で、その結果「学業不振が現れたり,二次的な学校不適応などが生じる」(国立成育医療研究センターHPより)という。

UDフォントの活用イメージ

UDフォントの活用イメージ

奈良県教育委員会では、この問題に対処するために2017年度からユニバーサルデザインフォント(以下UDフォント)を活用している。県内に10校ある特別支援学校に配備しているコンピューターには全てUDフォントを導入。また、県が教育の情報化に向けて実施する「ICT活用教育エバンジェリスト(推進リーダー)育成研修」でも、UDフォントの活用と理解を促す活動を推進している。

前奈良県立教育研究所副所長で奈良県立大学学長特別補佐・特任教授の石井宏典氏は「読み書き障害の存在は知っていましたが、それがフォントによって緩和されるということは認識していませんでした」と話す。

石井宏典 奈良県立大学学長特別補佐 特任教授(前 奈良県立教育研究所 副所長)

石井宏典

奈良県立大学学長特別補佐
特任教授(前 奈良県立教育研究所 副所長)

UDフォント活用のきっかけは「2017年度の高校入試で文字の読み書きに困難さがある生徒が受験するので、合理的配慮をしてほしい」という公立中学からの要請だった。

「県では、ロービジョン(弱視)の方と同様にテスト問題を拡大して読みやすくして対処し、時間延長などを試みたのですが、色々と調べていくうちに明朝体では読めなくても、UDフォントを活用した文章なら読みやすい場合があるのだということを知りました。国が2016年に『障害者差別解消法』を施行したという背景もあり、是非とも早く導入に踏み切りたいと考えました。『読む』『書く』といった文字を使用した学習活動が多い教育現場では、どんな児童・生徒にも違和感なく親しめるフォントが必要不可欠です」

弱視や読み書き障害に配慮した、UDフォント

モリサワ(大阪市)は、写真植字機を世界で初めて開発・実用化して以来、「文字を通じて社会に貢献する」を理念に掲げ、使う人の目線で書体を開発してきたフォントのメーカーだ。2009年11月からUDフォントの市場投入が始まり、近年ではICT教育の現場に、またインクルーシブ教育実現の一助として、「UDデジタル教科書体」の提供につとめている。

この書体は、電子黒板やタブレット端末でも可読性・視認性に優れた書体で、学習指導要領にも準拠し、筆を運ぶ向きや点・ハライの形状を保ちながらも、太さの強弱を抑え、弱視や読み書き障害に配慮したデザインで、ユーザ評価に基づく読みやすさのエビデンスも取得している。

一般的な書体と、UDデジタル教科書体との比較

一般的な書体と、UDデジタル教科書体との比較

石井氏は「UDフォントを奈良県全体の教職員に広めて、徹底的に使ってもらうように働きかけていこうと考えています」と話す。

具体的には、同教育委員会のデジタルデバイスの端末にはUDフォントを導入したり、ICT活用教育エバンジェリスト育成研修では、モリサワから講師を迎えてUDフォントを採用したレイアウト見本やフォント使いのノウハウを伝える講義を実施したほか、同育成研修の活動報告をまとめた冊子『ならえば』の全文にもUDフォントを採用した。

加えて、モリサワとともにUDフォントのエビデンス取得の研究を進めてきた大阪医科大学LDセンターの奥村智人氏の監修のもと、奈良県生駒市の協力で、UDフォントがどのような効果をもたらすのかという実証的な研究を始めた。「この調査は読み書き障害の生徒だけにフォーカスするのではなく、指定校の全生徒を対象にしているという点において全国でも珍しいエビデンスになると期待しています」(石井氏)

全ての子に「やさしい文字」を

「県内の教職員が作成する学級通信類やプリント配布物にもUDフォントを導入する学校が県内でじわじわと増えています」と石井氏。さらに奈良県では、2019年度の公立中高の入試問題からモリサワのUDフォントを活用する方針だ。

「いわゆる学習障害を含めた読み書き障害の子どもたちの中には、自分がそうだと気がついていないケースも多いようです。文章を読むことにすぐ飽きてしまう、集中できない。なぜだろうと悩んでいる子どもたちに、我々のほうから手をさしのべる。より多くの子どもたちに『やさしく』、『まちがえにくい』書体があるならば、それは使わない手はないと考えています。文字から教育の在り方が変わる契機ですし、是非、その旗を振りたい」と石井氏は意気込む。

文部科学省は、「2030年の社会と子供たちの未来」において、新しい時代と社会に開かれた教育課程を掲げ、新たな学校文化の形成の必要性を説いている。

「持続可能な開発目標である『SDGs』は、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。そんな中でのUDフォントの活用は、教育のインフラを整えることにも発展していくと思います」。タブレットなどを用いたICT活用教育が普及する中で、子どもたちが親しみやすいフォントを自由に選べる、そんな新しい時代にふさわしい教育が実現しつつある。

【お問い合わせ】

モリサワ

株式会社モリサワ
営業企画部 公共ビジネス課
Tel:03-3267-1378
https://www.morisawa.co.jp/ud-public/

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