アートとケアの接点を学び実践する 東京藝術大学「DOORプロジェクト」

東京藝術大学は「ケア×アート」をテーマに、多様な人々の共生社会を支える人材育成を目指す履修証明プログラム「Diversity on the Arts Project」(通称DOORプロジェクト)を展開。独自の取り組みに込められた思いなどについて、伊藤達矢教授、藤原旅人特任助教に話を聞いた。

多様な人々が共生できる社会を
支える人材育成のプロジェクト

伊藤 達矢

伊藤 達矢

東京藝術大学 社会連携センター
センター長/教授
博士(美術)。東京藝術大学大学院美術研究科美術教育専攻修了後、東京藝術大学助教、特任教授などを経て、2023年12月から現職。主な研究分野は、アートコミュニケーション、美術教育など。主な共著にDOORの活動を紹介する『ケアとアートの教室』(左右舎)がある。東京都美術館・東京藝術大学の「とびらプロジェクト」、「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点」企画運営など多くの事業を手がける。

DOORプロジェクト(以下「DOOR」)は東京藝術大学が2017年に開設した履修証明プログラム。ケアや福祉とアートの融合によって、多様な人々が共生できる社会を支える人材育成とコミュニティーの醸成を目的とし、社会人が藝大生とともに学ぶ講義と演習などの年間カリキュラムが組まれている。 講師陣には何らかの生きづらさを持つ当事者、社会と関わりながら表現を行うアーティスト、新たな視点を持つ福祉実践者などを迎え、テーマも障害や貧困、LGBTQ+など多岐に渡る。開設の経緯を同大学教授の伊藤達矢氏はこう話す。

「本学ではDOORの開講以前に『TURNプロジェクト』をスタートしていました。これは福祉施設にアーティストが出向いて、利用者と一緒にアートを介した対話体験を行う事業です。現学長の日比野克彦が学長就任前から進めていたもので、現在も続いています。そこでもアートと広い意味でのケアに様々な共通点があると考えられていましたが、その革新的な取り組みをふまえて、学生も含めたより多くの人たちに、ケアとアートの重なりについて考えてもらい、学んでもらう場を開いていきたいという考えからDOORが立ち上がっています」

(※全文:2434文字 画像:あり)

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