座学と実習で即戦力人材を育成 建設業界の維持・拡大を支援
人材不足が大きな課題の建設業界。新潟大学社会連携推進機構は「地域社会インフラ整備の担い手育成リスキルプログラム」を2022年度から提供している。同プログラムの狙いや特長、目指す人材育成像など、社会連携推進機構地域人材育成部門特任教授の須藤達美氏に話を聞いた。
県内建設業の安定的な維持へ
今いる人材の高度化を図る

須藤 達美
新潟大学 社会連携推進機構
地域人材育成部門 特任教授
新潟大学工学部土木工学科を卒業後、株式会社フジタ技術研究所環境研究部主任研究員、パシフィックコンサルタンツ株式会社国土保全事業本部河川部長を経て、2021年10月から株式会社小野組常務取締役。2022年から新潟大学社会連携推進機構地域人材育成部門特命教授、23年から現職。鳥取大学大学院工学研究科社会開発工学専攻で博士(工)取得。主な専門分野は河川工学。
人材不足が深刻化する建設業界。新規入職者の減少や技術者の高齢化に加え、首都圏への人材流出により、特に地域の建設企業は厳しい状況に置かれている。
地域の空洞化が進むなか、新潟大学は地域中核研究大学として、社会連携推進機構を設置。自治体や産業界と協働し、地域創生の取り組みを推進してきた。
同機構が県内建設業の安定的な維持に向けて2022年に開講したのが、「地域社会インフラ整備の担い手育成リスキルプログラム」だ。
同機構地域人材育成部門特任教授でプログラムの立ち上げを主導した須藤達美氏は、新潟県出身の新潟大学卒。大学を卒業後、ゼネコンと建設コンサルタントを経て、新潟大学と共同研究をしていた縁で地元の中小建設企業へ転職した。2022年から特命教授、2023年には特任教授として新潟大学にも籍を置いている。
「地元企業へ転職する際に、『県内企業全体が地盤沈下を起こしているため、全体の人材育成をしてほしい』と言われ、教育プログラムの開発を新潟大学へ提案しました」
バブル期に最盛だった建設投資が終了し、1997年頃から下降局面に入り、以降20年ほど停滞してきた建設業界。若者の入職が減る一方で、高度経済成長期に作ったインフラの老朽化や、東日本大震災をはじめとする大規模災害の多発、温暖化に伴う水災害の激甚化への対応など、人は減るが需要は増える状態が続いてきた。特に新潟県は面積が広く、河川や海岸線、高速道路など、管理・維持すべきインフラが多い。全国でも有数のインフラ保有県と言われている。
「都心の大手企業であれば、大学で建設を専門に学んだ学生を確保できますが、地方の中小企業における人材の確保は厳しい現状があります。若者の確保へ向けては、引き続き努力が必要ですが、人口が減るなかで、今いる人材を育成し、1人ひとりの高度化を図っていこうというのが、本プログラムの目的です」
現場をマネージできる
施行管理者を養成する
「地域社会インフラ整備の担い手育成リスキルプログラム」は、建設業界の指定学科を卒業していない若手技術者や他産業からの中途採用者等を主な対象とし、建設業界で必要な基本的知識や現場で役立つ先端技術等を学ぶ、社会人向けのプログラムとなっている。
(※全文:2382文字 画像:あり)
全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。