信州大学における地方創生と大学経営改革の流儀

政府が日本全体の研究力強化を推進しようとしている中、地域のみらいを牽引する中核大学として改革を推進する信州大学の先進的な取組みについて、理事・副学長の向智里氏に伺った。

向 智里

向 智里

信州大学 理事・副学長
1976年に金沢大学薬学部製薬化学科卒業。1981年大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了(薬学博士)。同年金沢大学薬学部教務職員として研究活動をスタートし、助手、助教授を経て1998年教授。スタンフォード大学(1986年:博士研究員)とエモリー大学(2003年:文科省在外研究員)にて研究に従事。金沢大学薬学部長、医薬保健研究域薬学系長・創薬科学類長、学長補佐(2006〜2014年)を経て、2014年理事•副学長。島根大学副学長(2021年)の後、同年より現職。1999年高岡市民文化賞、2002年に日本薬学会学術振興賞、2016年日本薬学会賞。2017年日本薬学会副会頭。

地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ(以下、総合振興パッケージ)は、“特色ある強み”を十分に発揮し、社会変革を牽引する大学の取組を強力に支援する政策である。我が国の研究力強化を加速的に推進するためには、大学ファンドの助成を受ける世界トップクラスを目指す国際卓越研究大学への投資だけではなく、総合振興パッケージよる強力な支援により、地域の中核大学の活性化が必須であると政府は考えている。

地域の大学を取り巻く環境は大変厳しいものであり、三大都市圏とその他の地域では13%以上大学進学率に差があり、今後18歳人口の更なる減少率増加が危惧されているところである。また、大都市圏以外での大学発ベンチャーの輩出はごくわずかで、…

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