格差社会における学生支援の目指すもの

コロナ禍において家計が厳しくなる家庭なども増加することや、政府も学生支援の拡充の方向性が示されている中で、日本学生支援機構の果たす役割は大きい。同機構の矢野和彦理事長代理に話を伺った。

矢野 和彦

矢野 和彦

独立行政法人日本学生支援機構 理事長代理
1989年文部省(現:文部科学省)採用後、在イタリア大使館一等書記官、大臣官房付(併)内閣参事官(内閣総務官室)、高等教育局私学助成課長、初等中等教育局初等中等教育企画課長、大臣官房会計課長、大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、文化庁次長、文部科学省官房長などを経て、2022年9月より現職。

(独)日本学生支援機構は、奨学金事業や国際交流など学生支援を先導する法人である。大学等(短大・高等専門学校・専修学校含む)の進学率は平成4年度の57.2%から、令和3年度には83.8%と大幅に上昇している。コロナ禍で経済的困難な家庭などが増加しており、政府の教育未来創造会議でも学生支援の拡充の方向性が示され、同機構の役割は大きい。

コロナ禍で退学者の増加が見込まれ、同機構でも「緊急特別無利子貸与型奨学金」などの対応を行った。その結果、令和3年度末の文部科学省の調査では、コロナを理由とした中退者数は増えているが(2,738人)、「経済的困窮」を理由とした割合は減少傾向にあり、同機構の役割は一定程度果たせたともいえる。

奨学金の種類は①第一種奨学金(貸与型・無利子)、…

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