GIGAスクール・産学連携、Society 5.0に向けた経団連の取組

初等中等教育から高等教育まで、様々な政策提言をしてきた経団連。いくつかの提言策定に関わってきた産業技術本部長の吉村隆氏に、今後求められる教育の在り方を伺った。

教育界に向けた情報発信

吉村 隆

吉村 隆

一般社団法人日本経済団体連合会
産業技術本部長
一橋大学大学院修了後、経団連事務局入局。経済本部にて金融制度改革、国際協力本部にて開発援助政策や経済連携協定の推進に関与した後、2008年より産業技術本部に配属。2017年より同本部の本部長として、Society 5.0の推進をはじめとする科学技術イノベーション政策のほか、知的財産・スタートアップ・デジタルエコノミー・サイバーセキュリティ・宇宙・防衛に関する政策を担当。経済産業省や文部科学省など政府の審議会・研究会の委員も多数経験。

植草 茂樹

公認会計士(事業構想修士、東京工業大学特任専門員、東京農業大学客員研究員)。
大手監査法人教育セクター支援室にて会計監査・経営支援を経験後、独立。文部科学省「国立大学法人会計基準等検討会議」委員など歴任。

江端 新吾

東京工業大学総括理事・副学長特別補佐/ 戦略的経営オフィス教授、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局上席科学技術政策フェロー。
北海道大学にて博士(理学)を取得。

一般社団法人日本経済団体連合会(以下、「経団連」)は、わが国経済社会の発展に向けた様々な政策提言を行っており、産業技術本部長である吉村隆氏の担当範囲も幅広い。近年は、大学改革や産学連携といった高等教育分野のみならず、EdTechやGIGAスクール構想など、初等中等教育分野を念頭に置いた提言にも力を入れている。初等中等教育については、小中学生に一人一台の教育用端末を整備するGIGAスクール構想の前倒しを働きかけたことをはじめ、教師用端末の整備、インターネット接続環境の整備、アプリやコンテンツの充実などに向けた提言も行っている(図表1参照)。

経団連では、Society 5.0(狩猟社会、農業社会、工業社会、情報社会に続く第五段階の新しい社会)時代には、文理を超えた幅広い知識を基礎としつつ、社会課題の解決や新たな価値を創造する能力や資質が求められるとし、STEAM教育の重要性も強調している(図表2参照)。その実現に向けては、初等中等教育・高等教育から社会人のリカレント教育までの各段階で改革が必要との認識から、多様な提言を行っている。大学界との間では、「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」を立ち上げ、…

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