重要度を増す〈Well-being〉 幸福学で〈良きあり方〉を科学する

コロナ禍をはじめ、先の読めない不透明な時代に、改めて『幸福とは何か』を問い直す動きが強まり、教育や人材育成において〈Well-being〉が重要視されている。幸せを科学的に分析する『幸福学』を研究する前野隆司教授(慶応義塾大学)に、〈Well-being〉に通じる『幸福学』を学ぶ意義を聞く。

分かった以上は考慮するべき 教育は全体圧力からの脱却がカギ

──社会が大きく変化する中で、『幸福学』がなぜ必要なのか、お聞かせください。

前野 隆司

前野 隆司

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授
1986年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了後、キヤノン株式会社入社。1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て2008年より SDM 研究科教授。主な著書に『幸せのメカニズム-実践・幸福学入門』(講談社現代新書、2013)など。

『幸福学』の研究が進み、幸せな人は『創造性が高い』『生産性が高い』『リーダーシップを発揮する』『健康長寿』であることなどが、科学的分析によって明らかになってきています。また、金・モノ・地位などによる経済的な発展は意外と長続きしない幸せで、やりがいや繋がりといった非地位財が幸せに寄与することが分かってきています。

『なぜ必要か』への答えは健康と同じ。研究によって分かっている以上は考慮した方がいい。さらに、コロナ禍もそうですが、先の見通せない社会では、全員が適切に判断して、自分らしく強味を発揮し、力を合わせて生きていくことが必要です…

(※全文:2441文字 画像:あり)

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