2022年度、高校必履修科目に『公共』。対話型の授業で変わる先生の役割

2022年、高校の新学習指導要領の実施により、『現代社会』に代わる必履修科目『公共』が始まる。選挙権年齢が18歳以上となり、若い世代への主権者教育の必要性が高まるなか、『公共』に期待される〈学び〉について、公共や主権教育に精通する福井大学の橋本康弘教授に聞く。

主権者に必要な資質・能力を育てる、知識ベースではない新しい授業を

──いま、なぜ『公共』が必要なのでしょうか。

橋本 康弘

橋本 康弘

福井大学教育学部教授
広島大学大学院教育学研究科博士課程前期修了後、広島市立大手町商業高校教諭などを経て、2002年に兵庫教育大学学校教育学部助手、2007年に福井大学教育地域科学部助教授に就任。2010年には、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官を務める。2016年より現職。主な著書に『日本の高校生に対する法教育改革の方向性:日本の高校生2000人調査を踏まえて』(共編著、風間書房)、『「公共」の授業を創る』(明治図書)などがある。

高等学校教育における公民科や地理歴史科は、網羅的・体系的な知識を丁寧に教えるのが、これまでの主流でした。しかし、新学習指導要領では、アクティブラーニングをベースとした『主体的、対話的で深い学び』が強く求められています。従来の公民科、地理歴史科の科目構成では、その機能を十分に発揮できない。そこで、新しい科目に刷新し、科目の狙いにもとづいた新しいタイプの授業をすることで、『主体的、対話的で深い学び』を実現しようというのが、新科目設置の教育的背景のひとつです。

もうひとつの背景は、18歳選挙年齢が実現したことで、高校3年生が有権者となり、投票行動を行うことができるようになったことがあります。従来の公民科で...

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