キャンパスと社会が共創する 『学長ビジョン2030』が目指す大学院像

学部を置かない独立大学院という先導的な『実験大学』として1991年に設置された国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学。創立30周年を迎える今年、塩﨑一裕学長は『学長ビジョン2030』を策定した。共創をキーワードにした同ビジョンと未来の大学院像について、話を聞いた。

企業との共創で、研究を社会的インパクトに繋げる

――『学長ビジョン 2030』策定の経緯をお聞かせください。

塩﨑 一裕

塩﨑 一裕

奈良先端科学技術大学院大学 学長
1963年和歌山県生まれ。専門は分子細胞生物学。1987年京都大学理学部卒。1992年に同大理学研究科で博士号を取得後、渡米。スクリップス研究所研究員、カリフォルニア大学デービス校准教授、教授を経て2010年に帰国し、奈良先端科学技術大学院大学に教授として着任。2021年4月から同大学長を務める。

私は、米国・カリフォルニア大学で教授を務めた後、10年ほど前に奈良先端大に異動しました。米国の大学では、大学全体だけでなく、学部や各カレッジで長期ビジョンを策定するのが通常で、私も勤務当時、長期ビジョンの策定に関わった経験があります。

奈良先端大に着任当時は、日本の大学で長期ビジョンを明確に打ち出している大学はあまり見当たりませんでしたが、私自身は、日本の大学にも長期ビジョンが必要だという問題意識を持っていました。

昨年3月、国立大学法人のガバナンス・コードが発表され...

(※全文:2312文字 画像:あり)

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