国立大学の財源の多様化に向けた制度上の課題と実際の取組みとは?
内閣府の大学支援フォーラムPEAKS会計・資産活用WGでは大学の多様な自己財源を増やす具体策や課題を検討してきた。同WGの委員で、大学の財務基盤拡大の取組を担う、名古屋大学の木村副総長と東京工業大学の佐藤統括理事に、大学の実際の取組みや制度上での課題等伺った。
国立大学の寄附金を募る取組み
独立した組織でノウハウを蓄積
木村 彰吾
佐藤 勲
──国立大学の財務基盤上の課題についてお聞かせください。
木村 国立大学の財源は、主要な運営費交付金以外の財源も増えていますが、大学が自由に使える真水のお金ではありません。そのため寄附による基金の積み上げが重要です。もちろん寄附も寄附目的に沿った使い方をしますが、大学が「こういうことを実現したい。だから応援してください」といったメッセージで寄附を集める必要があります。
米国のトップ研究大学は、エンダウメント(基金)の運用益を、大学の裁量がきく財源として活用しています。実は名古屋大学の学生・教員の規模はスタンフォード大学に近いのです。しかし予算規模は我々の6倍です。この差を埋めるには、ファンドレイズがやはり重要です。
佐藤 メッセージをどう伝えるかは重要ですよね。私はやはり大学は夢を語らなければいけないと考えています。例えば、東工大では地球生命研究所という地球や生命がどうやって誕生したのかといった根源的な研究をしています。この研究に寄附いただいた経営者の方は研究テーマに大きな共感をいただきました。大学は目の前の社会課題の解決を期待されていることは当然ですが、長期的な夢のあるテーマも大事だなと…
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