京都大学、湊長博総長が語る日本の研究大学が抱える4つの課題

京都大学ではインベンションの伝統を維持しつつ、イノベーションにつなげる取り組みを強化している。また、経営協議会の外部委員を増やし、シェアド・ガバナンスによる大学の運営を進めていく。京都大学の取り組みや日本の研究大学の課題、国立大の機能分化などについて、湊長博総長に伺った。

研究人材の減少や研究環境、国立大の機能分化などに課題

――世界のトップ大学と競争していくには、日本の大学には様々な課題があります。

湊 長博

湊 長博

京都大学総長
1951年生。富山県出身。医学博士(京都大学)。専門は医学・免疫学。京都大学医学部教授、同医学研究科長・医学部長、同理事・副学長、プロボストを歴任、2020年10月より現職。免疫生物学の多彩な基礎研究を展開、2018年ノーベル生理学・医学賞受賞者本庶佑教授の共同研究者としてがん免疫療法の開発に貢献。

湊:現在、京都大学が抱える課題は、日本のすべての研究大学が抱える問題だと思います。課題は、4つほどありますが、第1に「研究人材の減少」です。その要因のひとつは18歳人口の急減で、想定を超えるスケールで進んでいます。

また、日本では研究者のキャリアパスが未成熟で、大学院博士課程から若手 PI(Principal Investigator:研究室の主宰者)までの道筋が未確立な点も挙げられます。その背景には、博士課程のフェローシップ(研究奨学金)の圧倒的な貧弱さがあり...

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