10兆円ファンドで大学の基盤を強化、「知」の在り方を組み直す
世界レベルの研究基盤を構築するための大学ファンド創設は、国立大学の法人化以来の大変革を、日本の大学に迫る。欧米の名門大学ではエンダウメントが財務基盤になっており、国内でも今後、ファンドを基にエンダウメントが拡大していくことが期待される。
米国では80年代から、大学のエンダウメントが拡大
上山 隆大
米国の名門大学は、寄付金による基金である「エンダウメント(endowment)」を兆円単位で持ち、運用している。大学で将来的にエンダウメントが重要な役割を果たすことは、既に1970年代、フォード財団理事長のマックジョージ・バンディによって指摘されていた。
「バンディは『ハーバードの頭脳』と言われるほどの優秀な人で、ケネディ政権では大統領補佐官も務めました。1970年頃の大学のエンダウメントは、ハーバード大学でもあまり大きな額ではありませんでしたが、バンディは当時既に、先見の明があるレポートを出していました…
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