10兆円ファンドで大学の基盤を強化、「知」の在り方を組み直す

世界レベルの研究基盤を構築するための大学ファンド創設は、国立大学の法人化以来の大変革を、日本の大学に迫る。欧米の名門大学ではエンダウメントが財務基盤になっており、国内でも今後、ファンドを基にエンダウメントが拡大していくことが期待される。

米国では80年代から、大学のエンダウメントが拡大

上山 隆大

上山 隆大

総合科学技術・イノベーション会議 常勤議員
大阪大学経済学部経済学科博士後期課程修了。スタンフォード大学歴史学部大学院修了(Ph.D.)。上智大学経済学部教授・学部長を経て、2013年慶應義塾大学総合政策学部教授、2015年政策研究大学院大学副学長。2016年4月から現職。専門分野は科学技術政策。著書に『アカデミック・キャピタリズムを超えて:アメリカの大学と科学研究の現在』(NTT出版)など。

米国の名門大学は、寄付金による基金である「エンダウメント(endowment)」を兆円単位で持ち、運用している。大学で将来的にエンダウメントが重要な役割を果たすことは、既に1970年代、フォード財団理事長のマックジョージ・バンディによって指摘されていた。

「バンディは『ハーバードの頭脳』と言われるほどの優秀な人で、ケネディ政権では大統領補佐官も務めました。1970年頃の大学のエンダウメントは、ハーバード大学でもあまり大きな額ではありませんでしたが、バンディは当時既に、先見の明があるレポートを出していました…

(※全文:2330文字 画像:あり)

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