今ある大学のグレートリセットで全く新しい研究大学の創造を

日本のイノベーション創出の中核として期待される国立大学法人には、「世界と伍する研究大学」になるための様々な変革が求められている。「国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議」で委員を務めた東北大学の大野英男総長に、変革に向けた課題や戦略的経営の在り方について伺った。

コロナ禍の急速な変化を受け、変革を一層進める戦略を公表

──東北大学では昨年7月、「東北大学ビジョン 2030」をアップデートし、「コネクテッドユニバーシティ戦略」を打ち出されました。

大野 英男

大野 英男

東北大学総長
1954年生。東京都出身。工学博士(東京大学)。北海道大学工学部助教授、東北大学工学部教授、東北大学電気通信研究所所長等を経て、2018年より現職。専門は、電子工学、応用物理学、スピントロニクス。磁石の性質を持つ半導体「強磁性半導体」の研究により、2005年に日本学士院賞、2011年にトムソンロイター引用賞を受賞。

大野:この戦略は、コロナ禍で世界の研究大学の変化が加速していることを受け、デジタルトランスフォーメーションを通して東北大学の変革を一層進めるために打ち出しました。社会が知識集約型へと変貌を遂げる中、研究大学の役割はコロナ危機以前と比べて増大しています。

世界では、研究大学がイノベーションを駆動する重要なプレイヤーやハブになっています。例えば、英国のケンブリッジ大学周辺や、米国のボストンでは、研究大学を中心としてライフ系イノベーション・エコシステムができ、大企業やスタートアップ、ベンチャーキャピタルも巻き込んで…

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