数百人規模で投資の専門家を配備 米国大学のエンダウメントの強み

米国のトップ大学は数兆円規模の資産(エンダウメント)の運用益から、研究や学生の奨学金等に投資している。数百億円規模の日本のトップ大学が追い付くには何が必要なのか。数兆円規模に至った米国大学のエンダウメントのメカニズムを研究する長野公則氏に話を聞いた。

米大学のエンダウメント発展における、2つの大きな転換点

画像は同著の表紙で使用されたもの。

長野 公則(ながの・きみのり)

国際公認投資アナリストCIIA。博士(教育学)。
東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策コース博士課程修了。専門分野は、高等教育論、リベラル教育、日米大学財務。富士銀行(現みずほ銀行)入行後、企画部、香港、ロンドン、バハレーン駐在員事務所長等を経て、みずほ銀行エグゼクティブ(参事)。2005年から国際基督教大学(ICU)経理グループ長等歴任し2016年退職。主な著書に『アメリカの大学の豊かさと強さのメカニズム―基本財産(エンダウメント)の歴史、運用と教育へのインパクト』(東信堂)。画像は同著の表紙で使用されたもの。

「エンダウメント(endowment)」は、大学のミッション遂行をサポートするため、大学が蓄積し、投資する資産を差す。米国の大学では19~20世紀に独自の発展を遂げ、21世紀に入り、新たな展開も見られた。

「米国の大学のエンダウメントには、約200年前と約20年前に2つの大きな転換点がありました」と国際公認投資アナリストCIIA の長野公則氏は指摘する。1つ目は1819年の連邦最高裁による「ダートマス判決」で、これによってエンダウメントの法的保護が確立された。「判決は、寄付者の贈与が長期間にわたって大学に貢献すると確信できるようになった出発点といえます。一方、大学側は財産の蓄積が法的に認められ、それが社会的に受容されることとなりました…

(※全文:2183文字 画像:あり)

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