既存のフレームに囚われない教師が、ICT利活用教育推進のカギに
GIGAスクール構想と ICT利活用教育の推進に、教育現場はどう取り組むべきか。東京都小金井市立前原小学校前校長として、全国に先駆けて1人1台の情報端末を用いた授業実践に取り組んできた松田孝氏(合同会社 MAZDA Incredible Lab 代表)に聞いた。
従来指導法からの、パラダイム転換を
──Society5.0の実現に向けた ICT利活用教育について、どう捉えていますか。
松田孝
私が小金井市立前原小学校の校長に着任したのは2016年。前任校(多摩市立愛和小学校)での ICT 導入経験を活かして、市の教育委員会に対しては総務省の「『次世代学校 ICT環境』の整備に向けた実証」に参画することを提案し、Wi-Fi環境の整備や ICT機器の導入などに着手しました。この ICT環境整備と並行して校内では、3年生から6年生の11クラスを対象に、年間20時間のプログラミング授業を実践する試みも始めました。
前原小にいた3年間で、私が最もエネルギーを注いだのは1人1台の ICT環境づくりだったと言っても過言ではありません。それが GIGAスクール構想によって、高速通信ネットワークとともに全ての小中学校に整備されるわけですから、これほど素晴らしいことはないと思います。
ただし、重要なのは1人1台が実現した後に、それをどう活用していくかです。ICT利活用の大前提として、まずは教師一人ひとりが Society5.0という時代認識を持つことが求められます。
Society5.0とは、これまでのフィジカル空間(現実空間)とコンピューターが作り出すサイバー空間(仮想空間)が高度に融合した社会とされています。子どもたちはそうした全く新しい社会を生きていくのだと認識できれば、昭和・平成が作り上げたアナログをベースにした教科教育による…
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