コロナ禍を越えて、いま学校に求められるICT環境整備

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、オンライン授業を実施するための学校の ICT 環境整備の重要性が改めて明らかになった。自治体や教育委員会に求められる GIGAスクール構想への対応を、東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也教授に聞いた。

教育委員会と慣性の法則

──GIGAスクール構想の重要性をどのように捉えていますか。

堀田龍也

堀田龍也

東北大学大学院 情報科学研究科 教授
1964年熊本県生まれ。博士(工学)。東京都公立小学校教諭、富山大学教育学部附属教育実践研究指導センター助教授、玉川大学教職大学院教授などを経て2014年より現職。専門は教育工学、ICT 活用授業、情報教育に関する教育実践研究。学校における ICT 環境整備の在り方に関する有識者会議・座長(2016-2017)、「教育の情報化に関する手引」作成検討会・座長(2019)などを歴任。

学校教育の目的は、社会に出てから必要になる知識や技能、考え方を集団の中で発達にあわせながら身に付けさせることです。今日の社会で、特に重要なものが ICT の活用能力です。学校でも学ぶ道具として ICT を使い、コンピテンシーを高めていかなければ、変化の激しい時代を生き抜く力を子どもたちは身につけられません。

これは世界共通の考え方で、アジアでもシンガポールや中国の大都市圏では1人1台の学習環境が整備されています。しかし、日本の学校ではネットワークや学習用パソコンが十分に整備されていません。国は長年、地方交付税交付金に学校の ICT 環境整備費用を盛り込んでいましたが、地方交付税の用途は自治体に委ねられており、他の用途に使われるケースが多かったのです。また、先生や教育委員会に強力な…

(※全文:2320文字 画像:あり)

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