戦略的大学運営を牽引する大学基金の資金運用の本質とは?

大学の研究力等の強化には、持続的発展をもたらすエンジンとなる大学基金が欠かせない。しかし「日本の大学の資産運用は、今から50年前の米国の大学の状況にある」と株式会社IBJ松田志津代氏は危惧する。日本の大学基金に関する課題や求められる取り組みを聞いた。

変革期を迎えている
日本の大学の資産運用

松田 志津代

松田 志津代

株式会社IBJ クリエイティブディレクター
東京女子大学卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。専門は、米国科学技術政策とテクノロジーイノベーション、大学運営、大学基金。米国大学財務・資産運用チームとのネットワークを有し、大学基金の調査・分析。航空会社勤務の後、米国在住10年を経て、投資運用会社である株式会社IBJクリエイティブディレクターに就任。

政府の10兆円規模の大学ファンドを通じた国際卓越研究大学への支援に大きな注目が集まった。こうした施策により、株式運用および大学独自基金構築の重要性が強調されたこと、2023年にはインフレ高進の懸念も強まったことから、各校とも積極的な運用体制に力点を置く機運も高まっている。

「従来のような元本の維持を最優先とするリスクを取らない資産運用から、インフレに対応可能な科学的・合理的な資産運用に切り替える絶好の機会が到来したと思われます。この機会を活かし、我が国の大学は独自の基金を構築し、大学運営に不可欠な安定かつ長期的なキャッシュフローを生み出す仕組みがこれまで以上に求められています。そのためには経営トップのマインドを切り替えることが鍵となるでしょう」と…

(※全文:2418 文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。