「融合型」の教育に変革し、社会受容性を持つ科学技術の創出へ

東京理科大学は2023年4月から理工学部の名称を「創域理工学部」に変更、「先進工学部」に2学科を新設し、融合型の教育を強化する。社会で求められる人材の輩出や研究力の強化に向けて、日本の大学が抱える課題や必要な改革について、東京理科大学学長の石川正俊氏に聞いた。

「融合型」と「統合型」の
コンセプトで学部を再編

石川 正俊

石川 正俊

東京理科大学 学長
工学博士(東京大学)。東京大学名誉教授。東京大学大学院工学系研究科計数工学専門課程修士課程修了後、通商産業省工業技術院製品科学研究所を経て、東京大学助教授、教授、総長特任補佐、副学長、理事・副学長、情報理工学系研究科研究科長を歴任。2022年1月より東京理科大学第11代学長に着任し、現在に至る。専門分野はシステム情報学(センサ工学、ロボット工学、画像処理、認識行動システム、生体情報処理)。

── 日本ではOECD諸国と比べて、理系人材の不足が指摘されています。

石川 まず、日本の社会についていえることは、今の社会が科学技術をベースに動いていることに対し、あまりにも疎いということです。これが、日本の国力を下げる一因だと感じます。また、理系人材の定義も色々ありますが、その不足は国力低下につながることを理解すべきです。では、なぜ日本には理系人材が少ないのかというと、1つは、給与が低過ぎることがあると思います。例えば、米国のシリコンバレーでは現在、ディープテックベースの人材の給与は非常に上がっています。その流れはおそらく日本にも到来すると予測しています。実際、既に日本の一部の大手メーカーでは給与を上げ始めたところもあります。

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