博士人材の育成と活躍を後押し 科学技術立国再興への新たな構想
経済的不安やキャリアの不透明さから博士課程進学者数が少ない日本。研究の道を志す人が安心して学び、社会で活躍できる環境を整えるため、Beyond Next Ventures代表の伊藤毅氏は、2025年5月に日本科学未来財団を設立。博士人材を取り巻く課題と支援に向けた今後の構想を聞いた。
博士課程進学がリスクと見られる
博士人材減少に潜む構造的課題
 
伊藤 毅
一般財団法人 日本科学未来財団 代表理事/Beyond Next Ventures株式会社 代表取締役社長
2003年にジャフコ(現ジャフコグループ)入社。SpiberやCYBERDYNEなど多数の大学発スタートアップへの投資・事業化支援を主導。2014年にBeyond Next Venturesを創業し、研究成果の商業化と資金循環を促すエコシステム構築に尽力。デジタルヘルス、医療機器、ロボティクス等を担当し、複数企業の社外取締役や名古屋大学・広島大学の客員教授を務めるほか、内閣府・各省庁のスタートアップ関連委員も歴任。博士人材育成推進のため2025年5月「日本科学未来財団」を設立した。
Beyond Next Venturesは、大学や研究機関の技術を社会へつなぎ、大学発スタートアップの成長を支援してきた。代表取締役の伊藤毅氏はディープテック投資を通じて研究現場と関わる中、日本のアカデミアの研究人材基盤が弱体化している現状に強い懸念を抱いている。
「私が特に危機感を抱いているのは、博士課程に進む学生が減っていることです。研究の担い手が減り続けていけば、日本の科学技術の基盤が揺らいでしまう。これは研究者個人の問題ではなく、日本の将来に関わる大きな課題です」
文部科学省の調査によると、博士課程への進学者数は2003年をピークに長期的に減少傾向にある。
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