68人へのインタビューから日本のアカデミアの環境を問い直す
5月に『日本で女性研究者が増えない理由』が刊行された。東京大学8研究科の博士課程に在籍経験していた男女54人と、全国10国立大学の女性限定公募で採用された女性14人へのインタビューをもとにしている。
日本に「パイプラインの水漏れ」
はあるか?
中野 円佳
東京大学 多様性包摂共創センター 准教授
東京大学教育学部卒業後、日本経済新聞社記者、2014年立命館大学先端総合学術研究科で修士号(学術)取得、フリージャーナリストなどを経て、2022年より東京大学男女共同参画室特任研究員、23年特任助教。24年より現職。2025年東京大学大学院教育学研究科で博士号取得。著書に『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)。『教育にひそむジェンダー』(ちくま新書)など。
5月に編著『日本で女性研究者が増えない理由:アカデミアに残るジェンダー問題』を上梓した。本著の執筆の背景は、2022年に東京大学男女共同参画室で特任研究員として働き始めた際、日本に「パイプラインの水漏れ」(STEM分野などで教育段階が上がるごとに女性の割合が少なくなる問題)があるのだとしたら、アカデミアに残っていない人も含めて、その理由や経路を調査する必要があるのではないかと考えたことだ。
私は2007年に大学卒業後に日本経済新聞社に記者として就職し、自身の結婚や妊娠をきっかけに企業で働く女性がライフイベントを契機に仕事を継続するかどうか選択を迫られる状況を修士論文としてまとめて『「育休世代」のジレンマ』(2014年、光文社新書)という本として上梓している。企業と共通する点もあるものの、アカデミアでは博士課程の大学院生は研究室に属し、指導教員や人間関係に環境を大きく左右される。また、どんなにスムーズに博士号を取得しても20代後半にさしかかり、その後も任期が無いポストに就くまでに時間がかかる傾向がある。そのため、学部卒や修士修了で企業就職をした場合よりも就職とライフイベントとの重なり合いが深刻になる。
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