高校生と大学生が相互に刺激を受け合う、高大連携授業による探究

早くから高等学校に探究科・探究コースなどを設けている探究先進県・山形。山形大学と米沢興譲館高等学校では2019年度から双方の生徒・学生が交流しながら探究する高大連携授業を実践している。山形大学側で実践を担当した本多氏、山本氏、大杉氏に話を聞いた。

学部改組を機に県内SSHとの
連携授業を実施

本多 薫

本多 薫

山形大学 人文社会科学部 教授・副学部長

山本 陽史

山本 陽史

山形大学 エンロールメント・マネジメント部 教授

大杉 尚之

大杉 尚之

山形大学 人文社会科学部 准教授

2017(平成29)年に学部の改組を行い、人文学部を人文社会科学部とした山形大学。

「専門教育で得られた知識を応用し、現実社会、特に地域社会の中で活用できる人材を育成していくべきだという議論が学内でありました。従来から、地域企業や自治体関係者から大学に要望のあった『実社会で生きるための力』を身につけることが改組の柱となりました」と本多氏はその背景を説明する。

具体的には、①課題を設定する力・課題を解決する力に加え、②統計や社会調査などのデータ活用能力、③語学運用能力の3つをこれからの社会で求められる力と設定。全学生が①と②の力を身につける経験をする手段として、探究を行うことが決まった。

もともと山形大学では、学生と社会人のコラボレーション授業などを実施しており、外部との連携の実績があった。また、プレ卒業研究や卒業研究では探究的な活動が必要になるが、通常の授業とその間をつなぐステップが求められていた。一方、県全体の方針もあって県内の高校では積極的に探究を実践しており、県内のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として、探究の蓄積がある米沢興譲館高等学校の2年生と山形大学の3年生がともに探究を行う連携授業の実施に至ったという。

「米沢興譲館高等学校では理系の探究が進む一方、…

(※全文:2120文字 画像:あり)

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