SDGs探究の実践:フィールドで「生の経験」と思考を繰り返す

昨年の流行語にもノミネートされるなど広く普及したSDGs。教育現場でもSDGsを探究学習のテーマとする取り組みが増えているが、東京都市大学の佐藤真久教授は「探究」は新たなステージに入ったと指摘する。学校・企業・地域社会に生きる考えの基本を聞いた。

多文化共生に終わらない
ダイバーシティの理解

佐藤 真久

佐藤 真久

東京都市大学大学院 環境情報学研究科 教授
筑波大学第二学群生物学類卒業、同大学院修士課程環境科学研究科修了、英国国立サルフォード大学にてPh.D取得。アジア太平洋地域における国際環境・教育協力に関する政策対話・調査研究、持続可能な開発のための教育(ESD)に関する関連プログラムの開発・運営・研究などにかかわる。現在、SDGsを活用した社会・環境課題同時解決支援事業委員長、国際連合大学高等研究所(UNU-IAS)客員教授、ESD円卓会議委員、JICA技術専門委員(環境教育)、IGESシニア・フェローなどを歴任。

佐藤教授が監修したSDGsを学べる書籍の第3弾『未来の授業 SDGsダイバーシティBOOK』が昨年12月に発行された。今回のテーマは「ダイバーシティ(多様性)」。個性ある4人の子どもたちが社会や文化、心や体のダイバーシティのあり方を学び、体験し、そして成長する姿をストーリー仕立てで読める。

一般にダイバーシティというと、多文化共生の問題として語られることが多い。しかし本旨は「基本的な他者との関係性を理解すること」だと佐藤教授は話す。

「ダイバーシティは人間社会を構成するすべてにかかわる話題です。さまざまな文脈の中で意味づけられたり、カテゴリーにくくられたりする中で、一人ひとりが身体的にも精神的にも社会的にもよいと思える関係性を互いに理解・尊重していく視点だといえます」

男性的な働き方を前提としているために無理が出ている現代社会の問題や、…

(※全文:2163文字 画像:あり)

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