「思考スキル」「思考ツール」を活用した探究的な学び
学校に1人1台端末環境が整った現在、ICTを活用した探究において、重要なことは、多くの情報を頭の中で整理・分析し、自分の頭で考えることです。本稿では自律的に探究する力を育む助けとなる「思考スキル」「思考ツール」について紹介します。
はじめに
今、求められる探究的な学び

泰山 裕
中京大学 教養教育研究院 教授
博士(情報学)。鳴門教育大学大学院学校教育研究科准教授などを経て、2024年4月より現職。これからの社会を切り開く子どもたちに必要な能力を育むための教育のありかについて,教育工学の視点から研究をしている。
予測困難な時代を生き抜く子どもたちにとって、学校教育ではどのような資質・能力の育成が求められるのでしょうか。社会の変化は目まぐるしく、生成AIをはじめとするツールの進化もとどまるところを知りません。社会を生き抜くために大切なことは常に変化しています。経済産業省の資料によると、2050年の社会では問題発見力、的確な予測、革新性がより重要になると予測されています。2050年は今から25年後、現在10歳の子どもが35歳、15歳の子どもが40歳になる時です。
社会の中核を担う子どもたちが活躍する社会において、問題を発見し、情報を収集・分析し、予測・決定し、新たな方法を提案する力、つまり探究する力が求められているのです。
探究する力を育てるために、学校ではこれまでも探究的な学びの実現を目指してきました。主体的・対話的な学びの視点からの授業改善、理数探究や世界史探究などの探究的な科目の設定、総合的な学習の時間の名称変更、大学入試における総合型選抜の重視などがその例です。
また、近年注目されている「個別最適・協働的な学び」では、教師が学習の流れや方法を指示するのではなく、児童生徒自身が学び方やペースを選択・調整しながら探究を進める実践も見られます。児童生徒は探究的な学習の過程に沿って、自ら課題を設定し、情報を集め、整理・分析し、まとめ・表現する方法を選択し、教科等の学びを深めています。
(※全文:3103文字 画像:あり)
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