協働する探究のデザイン 答えのない授業を作る方法などあるのだろうか?
探究する学びをデザインする前に、そもそも「なぜ私たちは学ぶのだろうか」を問う必要がある。この問いの探究には、「あなたは何者なのか?」が一つのきっかけになる。
「わたし」が揺らされる時代
藤原さと
私たちは何のために学んでいるのだろうか。今、極めて「わたし」というものを確実に捉えるのが難しい時代に突入している。世の中があまり変わらないように見えているとき、私たちの「自己」は比較的見えやすいような幻想を抱く。10年、20年後も今とほとんど変わらない生活をしているように思い、そのころの自分を想像して、着々と準備をする。江戸時代は、もし農家の家に生まれたら、種の選び方や苗の育て方、肥料の与え方、天気の見方などを親から学べばよかっただろう。武士の家に生まれたら基本的な読み書き算盤を学び、武道に精を出しただろう。
しかし、そのような公式がぜんぜん成り立たなくなってきたのが現代である。よく言われているように、今の世界はAIの発達による産業構造の変化、各地で深刻化する環境問題、戦争の勃発、難民受け入れをめぐる国内政治の分断などさまざまな問題が突きつけつけられている。こうした現代の状況の特性は、…
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